会社員の副業「雇用型」に壁
今朝の日経新聞17面に、「会社員の副業『雇用型』に壁 複雑な労働時間通算、企業が敬遠」という記事が載っていました。業務委託型副業で個人事業主として副業をしている会社員が、報酬の未払いなどの契約トラブルに見舞われているというのです。
そもそも、昔のモデル就業規則では、「会社員の兼業・副業は禁止できる」、となっていました。しかし、様々な裁判例の積み重ねでモデル就業規則も変わり、今では「会社員の兼業・副業は原則認める」こととされています。(厚生労働省のパンフレットによれば、「裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、労務提供上の支障となる場合、企業秘密が漏洩する場合、企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、競業により企業の利益を害する場合と考えられる」となっています。)
また、働き方改革による時間外労働の上限規制で、残業できる時間がそもそも減っていますから、今まで残業代で生活費を稼いでいた会社員の方は「兼業・副業しないと食べていけない」という状況もあるでしょう。
兼業・副業には二つのパターンがあります。兼業・副業先とも雇用契約を結ぶ「雇用型」と、兼業・副業先とは雇用契約を結ばず、個人事業主として契約を結ぶ「業務委託型」です。このうち「雇用型」では、先述した時間外労働の上限規制がネックになってきます。
ご存じのように、働き方改革により時間外労働の上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以下等)が定められました。本業も雇用、兼業・副業も雇用、となった場合、それが守られているか把握する義務は本業の方にも兼業・副業の方にもあります。つまり、両方の会社でその会社員さんの時間外労働を管理する必要が出てくるのです。もちろん、二社が直接話し合う必要はなく、会社員の方を通じて把握すればよいのですが、それにしても現実離れと言うか、面倒くさっ!ってなりますよね…、普通。
そこで厚生労働省が出した解決法が、新聞にも出ていた「管理モデル」です。二社で単月100時間未満、複数月平均80時間以内となるように、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定するというものです。(例えばA社では月45時間、B社では月35時間と決めておけば、B社はA社でどれだけ時間外労働をしたか気にすることなく、自社の労働時間全体に対して割増賃金を払うことで労働基準法を守ることができるのです。)
でも、これも現実離れと言うか、正直面倒くさい(笑)。(記事では「謎ルール」と呼ばれていました。)だから、「雇用型」の兼業・副業ではなく、「業務委託型」の兼業・副業が増えて、それに伴って冒頭でご紹介したようなトラブルになっているんですね。
政府も問題解決に向けて動き出したようです。近い将来、謎ルールが変わる可能性が高くなりました。そうは言っても、厚労省が一番心配しているのは「働き過ぎ」なので、それには十分注意してルールを変更する必要がありそうです。
みなさんは、兼業・副業していますか?ちなみに私は自営業なので、イメージ的には業務委託型の兼業・副業を、ものすごくたくさんやっている、という感じでいます。^^;