社宅制度の男女差は「間接差別」

6月24日(月)の日経新聞朝刊に、「見えない差別に厳しい目 『間接差別』の初判決、社宅格差に賠償」という記事が載っていました。ほぼ全員が女性の一般職に当初月3,000円、後に15,000円の住宅手当を支給する一方、一人を除き全員男性だった総合職には社宅制度を適用し、家賃の8割を負担してきた会社に対して、東京地裁はそれを間接差別だと認定し、378万円の賠償を命じたのです。

そもそも「間接差別」とは何でしょうか?

例えば、「女性には月15,000円の住宅手当を支払い、男性には社宅制度を適用して家賃の8割を負担する」となれば、これはもう直接差別です。男女雇用機会均等法第5条、第6条では、事業主が、労働者に対し、募集・採用、配置・昇進・降格・教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新において、男性又は女性であることを理由に差別的取扱いをすることを禁止しています。

これに対して、明らかに男性・女性という性別で差別していなかったとしても、実質的に男性ばかりの総合職と女性ばかりの一般職で差別すれば「間接差別」とされます。間接差別も男女雇用機会均等法違反です。(第7条)

他にも、高身長である必要がない仕事にもかかわらず、「身長180センチメートル以上であること」という採用条件を設けるのは、一般的に男性より身長の低い女性を間接的に差別したことになります。

「見えない差別」といわれる間接差別が実際の裁判で認定されたのは、初めてだそうです。社宅などの福利厚生制度はもちろん、手当や処遇に差をつけるなら合理的な理由が必要です。今までずっとそうしてきたから、では理由になりません。同一労働同一賃金の対応も含め、企業としては、手当や処遇一つ一つを丁寧に見直す必要がありそうです。