最低賃金はどこまで上がるか?
今年も最低賃金引き上げに向けた議論が始まりました。24年度の春季労使交渉(いわゆる春闘)で企業の賃上げ率は5%を超えました。最低賃金を同じく5%上げると、金額では50円に達します。現在の静岡県の地域別最低賃金は984円ですから、50円上がると1,034円になる計算です。
最低賃金というと、時給で働く人だけに関係することと思うかもしれません。私も日曜日に折り込まれる求人広告を眺めると、「ああ、ここは最賃だな。夜10時以降は1,230円って少し高そうに見えるけど、最賃に深夜割増25%付けてるだけじゃん」とか、どうしても時給に目が行きがちです。
しかし、最低賃金は時給だけでなく、日給や月給にも影響します。もし、静岡県の地域別最低賃金が今より50円高い1,034円になると、どういうことが起こるでしょうか。
例えば、年間休日107日の会社の場合。1か月の平均所定労働時間はフルタイム勤務の人で172時間になります。8時間×(365日-107日)=2064時間 2064時間÷12月=172時間
これに時給1,034円をかけると177,848円になり、この会社の場合、月給者がその金額を下回ると最賃を割ることになるのです。会社全体で考えると、相当な人件費アップになります。支出に占める人件費の割合が高い中小企業にとって、最低賃金の引き上げは経営に与える影響が非常に大きいのですね。
日経新聞によると、「原燃料高のところは話を聞いてもらえても、人件費については自分のところで何とかしてくれ」と取引先に言われ、価格転嫁が進まない中小企業が多いそうです。今年の最低賃金は、果たしてどこまで上がるのでしょうか。国の目安額は7月中にも発表されるそうです。
ちなみに、約40年前、私が初めてアルバイトとして働いたファーストフード店の時給は、なんと480円でした。最賃1,000円超えは、感慨深いものがあります。昭和は遠くなりにけり…。