公的年金の財政検証が始まります

今日の日経新聞3面に「年金改革へ5案検証」という記事が載っていました。

日本の公的年金は、自分が納めた保険料を国が運用して、将来殖やして戻してくれる積立方式ではなく、今働いている現役世代の保険料を、今年金を受給している高齢者に仕送りする賦課方式となっています。少子高齢化に伴う現役世代の減少や、平均寿命の延びなど、社会の人口や経済全体の状況を5年に一回検証して、給付と支給のバランスを考えていこうというのが、この財政検証です。

今年はその5年に一回の当たり年。今回の検証結果は今夏には財政検証として発表され、それを基に厚生労働省が年金制度改正案を年末までに詰めるそうです。その議論の土台となる5つの項目が発表されました。

①厚生年金の対象拡大

②基礎年金の納付期間延長(40年→45年)

③基礎年金の給付抑制を早期停止

④在職老齢年金の見直し

⑤保険料の基準額の上限上げ

あれ?と思った方も多いでしょう。そうです。「第三号被保険者制度の見直し」が入っていません。会社員や公務員など、第二号被保険者に扶養されている配偶者は第三号被保険者といい、保険料を納付する義務がありません。しかし、厚生年金の適用拡大により、現在は101人以上の被保険者がいる適用事業所で週20時間以上働くと健康保険・厚生年金の被保険者となり、保険料を納める必要が出てきます。(10月からは51人以上の適用事業所に拡大)つまり、勤める会社の規模で、第二号被保険者になる人と第三号被保険者になる人にわかれる訳です。

土台の①にもあるように、将来的には全ての適用事業所で週20時間以上働くと健康保険・厚生年金の被保険者となるでしょう。そうすると、週20時間未満で働いて、第三号被保険者のままでいたいという人が必ず一定数いるので、働き控えが懸念されます。①を土台にあげておきながら第三号被保険者について議論しないのは何だかとっても不思議です。

記事では、「試算対象外の内容が改正案に入ることもありえる」と書かれていますが、できればきちんと審議会で検証して、財政検証にも載せてもらいたいです。共働き世帯が片働き世帯の2倍以上になっている今、第三号被保険者制度は時代に合っていません。早急な見直しが必要だと私は思います。

ちなみに、写真の年金手帳。一昨年の4月から廃止されているってご存じでしたか?今は年金手帳の代わりに、基礎年金番号通知書というのをくれるそうです。私は一世代前のオレンジ色の年金手帳でしたから、手帳の廃止というのはちょっと感慨深いものがありますね。